たとえば、同じチームの上司が部下に資料作成を依頼する場面を想像してみてください。
上司: 「今度のチームミーティング用に資料を作成してください。
体裁が最低限整っていればいいから。できるだけ早めにお願いしますね。」
この伝え方では、言葉の意味の捉え方に幅があるため、情報が省略されていて、
上司が求めるものを部下がアウトプットできる可能性は低いです。
上司は「これでわかるだろう」と思っているかもしれませんが、
クオリティについては「最低限整っていればいい」、納期については「できるだけ早め」と
人それぞれで捉え方が異なる言葉を使って依頼をしています。
この場合、部下はその言葉の意味や省略された情報を、自分の解釈で補完することができてしまいます。
そして部下の解釈が、上司の伝えたかったものと異なる場合には、
求めているレベルでの資料提出には繋がりません。
与えられた情報を1つずつみていくと
①いつ使用するのか?
⇒「今度のチームミーティング」と言ってますね。
同じチームなので、もしかしたらここは省略していても
上司が指した日時が正しく部下にも伝わっているかもしれません。
②誰に向けた資料か?
⇒「チームミーティング用」と言っているので、これはわかりますね。
③クオリティは?
⇒「体裁が最低限整っていればいい」と伝えていますが
これだけでは上司にとっての「最低限」を部下が正確に理解するのは難しいです。
この言葉の意味を部下は「Wordで文章だけでいいのか」と捉えていて、
上司は「PowerPointで図を入れて簡単な補足もしてほしい」と考えていたとしたら…
資料は作り直すことになりますね。
④提出の納期は?
⇒「できるだけ早め」では、明日なのか、2日以内なのか、
ミーティングが来週だった場合には「今週中」と捉えられるかもしれません。
上司はクオリティよりも速さを求めていて、「優先度を上げて」という意味で
使っている場合もあります。
②以外の情報には解釈の余地が残されていて、依頼内容の意図が正しく伝わっていない可能性がありますね。
この例では、上司の伝え方にミスがあるようになりましたが、お互いに認識のずれがないか確認することが大切です。
今までに使用した資料で同じようなものがあれば、それを参考として渡して
視覚的にも確認し合うのも良いと思います。
コミュニケーションの中で、情報を正しく伝えるためには、
言葉の意味だけではなく、そこにのせた意味まで、情報を省略せずに相手に伝える必要があります。
スタッフイノウエ