スタッフのひとりごと:対話のきく・はなす―価値観の違いについて

■価値観の違いに出会ったとき、対話は深まる

「対話ってなんだろう?」

この問いに明確な正解はないように思います。
「異なる価値観が出会い、新しいものが生まれる場」だと考えたら、
なんだかワクワクしませんか?

「価値観の違い」に向き合うとき、どんなことが起こるのか。
そして、そのときどんな風に関わっていけばいいのかを考えてみたいと思います。

 

■価値観の違いは、避けるものではない

人の数だけ、ものの見方があります。
同じ出来事を見ても、受け取り方や感じ方が違うのは当たり前のことでしょう。

それぞれが語っていることは、本人にとっての真実だと思います。
だからこそ対話では「正しいかどうか」ではなく、
「そう感じたんだね」と尊重して聴く姿勢が大切になります。

 

■その「違い」は、包み紙かもしれない

例えば誰かが話してくれた言葉に「なんか違うな」と感じることはありますよね。
それは中身(話し手の本当の想い)を知る前に、包み紙(表現の仕方や言い回しなど)だけで
判断してしまっていることもあるんです。

「この人、こういうタイプかも」と思った瞬間に、その人の話を「自分のフィルター」で見てしまうことも。

ちょっと立ち止まって、考えてみてください。

・中身(本当の想い)は何だったんだろう?

・自分が思った「違和感」は、どこからきてる?

・自分の感情が動いたとき、何が大切にされていた?

自分の反応を観察してみることで、自分が大切にしている価値観にも気づくことができます。

 

■感情は自分の価値観を知らせてくれるセンサー

誰かと話していてモヤモヤしたり、イラっとしたりすることってあると思います。
それ自体は悪いものではありません。

感情は外からの刺激に反応して生まれます。
そしてその反応は、自分がどう捉えたか、何を大切にしているかのヒントでもあるのです。

感情を押さえつけるのではなく、まずは受け止めてみる。
「わたしは今、どうしてこんな気持ちになったんだろう?」と問いかけてみる。
それだけで、自分自身の思考や前提に気づけることがあります。

 

■違うからこそ、問いを向ける

対話における問いかけは、相手を知ろうとする気持ちから生まれると思います。
ただ、時にはその問いが相手を責めるような形になってしまうこともあります。

例えば

・「どうしてそんなふうに思うの?」(否定の裏返しになっていない?)

・「それっておかしくない?」(相手を責めていない?)


問いを向けるときには、

・相手の世界をもっと知りたくて

・相手が大切にしていることを理解したくて

・自分の仮説を確認・検証するために謙虚に

という姿勢を大事にしたいです。

 

■違いは「お盆の上に並べる」ように

価値観が違うと感じたとき、「わかりあえない」と感じることもあるかもしれません。
でも違うからこそ、お互いに学び合えるチャンスもあるのです。

それぞれの意見や価値観を「お盆の上にそっと並べる」ように扱えないでしょうか。

・「私はあなたがそう考える理由をもっと知りたい」

・「あなたの背景にある経験を聴かせてもらえますか?」

・「もし自分が別の立場だったら、どう見えるんだろう?」

ゆっくりと対話を続けていく中で、自然と新しい理解が生まれます。

 


価値観がぶつかるのは避けるべきことではなく、対話の入り口となって、そこから対話が広がります。

「違っていい」「違うから、面白い」
そんな風に考えられたとき、対話の世界がぐんと広がるように思います。

スタッフイノウエ