『なぜ人と組織は変われないのか』の作者ロバート・キーガン氏が、新しく『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか』という本を出しました。まだ読んでいないのですが、非常に心惹かれるタイトルです。
ここ数年、「強みを活かす」とか「才能に目覚める」などの言葉をよく聞くようになりました。
自己肯定感が低いと言われる日本人にとって、自分の中にあるものをポジティブに捉えることができて、さらにそれを発揮することができるということは「自分だって捨てたもんじゃない!」と思える理想の状態なのかもしれません。
一方、数年前にアドラー心理学をベースにした『嫌われる勇気』という本がベストセラーになりました。この本のタイトルは「嫌われたくない」という、これもまた日本人の他人を気にする傾向(良くも悪くも)を掴んでいますよね。
「強みを活かす」ことと「嫌われる勇気を持つ」こと、この両方はセットで成り立つものではないかと私は思っています。
大事なのは、「強みを活かす」ことで自分が何を得たいか(役割、価値創造)。「嫌われる勇気」を持って自分は何をしたいのか(自分らしく生きる)、ということではないでしょうか。
「強みを活かす」ことは、「弱み」を否定することではありません。自分の中の「強み」も「弱み」もひっくるめて、受け入れること。自己を肯定するのではなく、自己を受容すること。そのうえで強みを活かして価値を創造していく。
「嫌われる勇気を持つ」ことは、他人からの承認を求めるのではなく自分で自分を承認していくこと。他人の人生を生きないこと。そうやって自分らしく生きていく。
私たちは人間関係の中(家族や会社、あらゆるところ)で、「相手に嫌われたくない」「迷惑をかけたくない」「できる人だと思われたい」「できないヤツだと思われたくない」と、自分が思う自分のマイナス面(弱み)を人に見せることを避けています。特に、利害関係も絡む組織の中では、なかなか弱さを見せることは出来ないかもしれません。ですが、本当はそういう自分の弱みまでひっくるめて隠さず人と関わっていくことで、自分の価値が最大限に発揮され、同時に自分らしく生きていくことができるのではないでしょうか。
そしてお互いの強みも弱みも受容できる人間関係こそ、最大のパフォーマンスを生むことができるのではないでしょうか。
「嫌われたくない」「弱さを見せたくない」・・・この想いの逆側に、本当の自分を最大限活かすことができる世界が待っている!
スタッフ・ヤマモト