それでは、組織の現場での実態も踏まえながら、意志決定の方法をみていきましょう。
ある提案について、誰も積極的な反応を示さないまま、「反対意見がないようなので」とそのまま決まってしまうことです。
意見を述べないことは、反対ではないとみなされて決定するわけですが、決定内容に納得感を得られていない場合が多いようです。
実行段階になって協力的でなかったり、不満や反対が出ることが少なくありません。
そうした面があるため、好ましい方法ではないと考えられないことが多いようです。
権限を持った責任者など、1人の判断によって決定されるやり方です。
十分に話し合った上で、責任者に一任という形で用いられることもあります。
また、組織の責任者の意見に対して、前項の「反応のない決定」のようにものごとが決まることもよく起こります。
「鶴の一声」という言葉があるように、トップの意志決定には逆らえないという風潮の組織も少なくないようです。
検討テーマについて経験のある人や詳しい人など熟練者がいる場合に、決定を委ねるやり方です。
一緒に話し合う場合は、熟練者の意見に主導されやすくなります。経験に裏打ちされた言説は説得力がある一方、経験の少ない人や知識のない人には、意見が言いにくい雰囲気が生まれ、黙ってしまう原因になることもあります。
また、幅広く熟練者がいるとは限りませんので、その方とは異なる視点からの検討がなされにくい欠点もあります。
特定の少数者に決定を委ねるやり方です。
メンバーが高位の上で、2-3人の少数者に決定を委ねることがあります。
話し合いを重ねたが結論が出ない場合に、参加者の合意の上で執行部に一任するなどもこれに属します。事前の合意があるため、事後で揉めることは少ないようです。
事前に根回しを行って、恣意的に特定の意見に決定していく流れを作ることです。
例えば、2-3人で、意見を述べる人、賛成意見を述べる人、賛同する人などの役割を決めておき、賛同の雰囲気を作って、「1.反応のない決定」に持っていくなどがあります。
当事者以外には露見しないこともあり、分かりにくいのですが、十分な討議がなされないため、実行段階になって問題が表面化することがあります。
次回は、意志決定の型のつづきです。
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