誰かが話をしたら、それは音声として
音の刺激という形で聴き手の耳に届きます。
では話されている内容がそのまますべて聴き手に伝わるかというと
そうではありません。
話されている内容の中で、すっと聴き手の中に入るものもあれば
音としては届いているのだけれど、全然頭に残らないものもあります。
思考の枠組み、自分のメガネ、フィルター、認知のフレームなど
呼び方はさまざまですが、わたしたちはこのような「なにか」を通して聴いています。
そのため話を聴いていても、すべてが聴き手の中に入ってはこないのです。
そして話を聴いて入ってきたものが、どういう風に聴き手の中で処理されているか。
聴き手の中では何が起こっているのか。
聴き手は話されている内容に対して、「この話聞いたことある!」
「いやいや、それは間違ってるよ」「そんな説明するのはセンスがないな」
などのように考えます。
情報として入ってきた瞬間に聴き手の思考が動き出すのです。
これを「自動思考」と呼んだりします。
瞬間的に考えやイメージが浮かんでくることで、
どんなものが浮かんでくるかは人によって違うため
「認知のクセ」と表現することもあります。
自動思考が働くと同時に感情も動きます。
話の内容によっては、嬉しいとか悲しいとか、いろいろな気持ちが出てくることがありますね。
またそれと並行して、身体的な反応や生理的な反応もほぼ同時に起こってきます。
思わず涙が出てきてしまった、にこやかな表情になっていた、
知らずに身体に力が入っていた、気づいたら握りこぶしを握っていたというようなことです。
そうやって聴き手の中で起こったことが表情や表現、そして言葉となって、また相手に返っていきます。
このような流れが、話し手・聴き手の間でぐるぐる回りながら、コミュニケーションがとられているのです。
スタッフイノウエ