誰かと話しているときに「こんなことを言って大丈夫かな?」と気にして、
言葉を選びすぎたり、意見を言うのをためらったりした経験はありませんか?
対話がうまくいかないとき、多くの場合は「何を話せばいいか分からない」
「どこまで話していいのか」と不安を感じてはいないでしょうか。
こうした不安があると、どうしても本音を隠してしまい、表面的な言葉のやりとりになってしまいますね。
どうすれば相手が安心して話せる対話ができるのでしょうか?
その鍵となるのが「心理的安全性」です。
【心理的安全性とは?】
心理的安全性とは、「この場では、何を言っても大丈夫」「否定される心配がない」
「自分の考えを素直に話せる」と感じられる状態のこと。
心理的安全性が高いと、対話の中で「こんなことを言ったらどう思われるだろう?」と
過度に心配せず、自分の意見や気持ちを自然に表現できるようになります。
例えば、次のような場面では心理的安全性を実感できるのではないでしょうか。
・会議で意見を言ったときに、誰も否定せずに耳を傾けてくれる
・質問をしたときに、「そんなことも知らないの?」と笑われず、きちんと答えてもらえる
・失敗しても責められず、「どうしたら次はうまくいくか」を一緒に考えてもらえる
このように、心理的安全性のある対話では「相手が自分を尊重してくれる」と感じられるため、
安心して話すことができます。
では、どのようにすれば、心理的安全性のある対話の場をつくれるのでしょうか?
【心理的安全性を高めるためのポイント】
① 否定せずにまず受け止める
心理的安全性をつくる上で最も大切なのは、相手の話を否定せずに受け止めることです。
例えば、誰かが「私はこのやり方はちょっと違うと思う」と意見を言ったときに、
「それは間違ってるよ」とすぐに否定されてしまうと、もう次からは意見を言いにくくなりますよね。
もちろん意見が違うことはあります。
まずは「なるほど、そう考えるんですね」と一度受け止めてみる。
それだけでも、相手は「この人は自分の話をちゃんと聴いてくれている」と感じ、
安心して話を続けられます。
受け止めるとは、同意する(受け入れる)ことではありません。
「あなたはそう考えているんですね」と認めるだけでも、対話の空気はぐっと良くなります。
② 「正解」を求めすぎない
つい正しい答えを探してしまいがちになると思います。
対話においては、必ずしも正解があるとは限りません。
例えば、「このプロジェクトの進め方についてどう思う?」と尋ねられたときに、
「正しい答えを言わなきゃ」とプレッシャーを感じると、緊張して話しづらくなりますよね。
心理的安全性を高めるためには、「正解でなくてもいい」「自分の考えを自由に話していい」
という場の空気をつくることが大切です。
「まずは思っていることを話してみてください」「いろんな考え方があるよね」
「どんな意見も大切だよ」のように伝えることで、相手は安心して話せるようになります。
③ うなずきや相づちで「聴いている」ことを伝える
相手が安心して話せるかは、「ちゃんと聴いてもらえている」と感じられるかどうかに
大きく関わっていると思います。
自分が話しているときに相手がスマホをいじっていたり、ぼんやりしていたりすると、
「あれ、本当に聴いてくれてるのかな?」と不安になりますよね。
「うんうん」「なるほど」「それは面白いですね」とうなずきながら聴いてくれていると
「この人は自分の話をちゃんと受け止めてくれている」と感じ、安心して話せるようになるのではないでしょうか。
話を聴くときには、相手の目を見たり、適度に相づちを打ったりすることで、
「あなたの話に興味を持っていますよ」というメッセージを伝えることができます。
④ 「質問」よりも「関心」を持つ
「何を質問すればいいんだろう?」と考えすぎてしまうことはありませんか。
心理的安全性を高めるには、質問よりも関心を持つことではないかと思います。
例えば、相手が「最近、新しいことに挑戦してるんです」と話したら、
「それは何ですか?」と質問するよりも、「それはすごいですね!」と関心を示す方が、
相手は話しやすくなります。
質問は相手を「尋問」するのではなく、「もっと話したくなるように」するためのもの。
関心を持つと「その挑戦を始めたきっかけは何だったんですか?」というような
相手が話しやすくなる質問は自然と出てくると思います。
⑤ 自分の「失敗」や「弱さ」も共有する
心理的安全性を高めるためには、「自分も完璧じゃない」と伝えることが意外と大事です。
例えば、「実は、私も最初はうまく話せなかったんです」といったエピソードを話すと、
相手も「自分だけじゃないんだ」と感じて安心します。
また、「正直に言うと、まだよく分かっていなくて…」と率直に言える場では、
みんながリラックスして意見を言いやすくなります。
「完璧であること」よりも「お互いに学び合えること」が、心理的安全性の高い対話には欠かせないと思います。
心理的安全性が高まると、「こんなことを言ったらどう思われるだろう?」という不安が減り、
「何を言っても大丈夫」という安心感が生まれて、対話がぐっと豊かになります。
対話は単に言葉を交わすことではなく、お互いの考えや気持ちを伝え合いながら、理解を深めるものです。
まずは、あなた自身が安心して話せる環境をつくることから、一歩ずつ始めてみませんか。
スタッフイノウエ