スタッフのひとりごと:対話の説明に出てくる専門的な用語②

対話を学びはじめると、「ちょっと難しそうな言葉」に出会うことがあります。

専門的な用語のようなこれらの言葉には、対話を豊かにし、人とのつながりを深めてくれる
大事なヒントが詰まっているように思います。

対話の説明の中でよく使われる用語をいくつかご紹介しますが
用語も扱う人によって意味合いが違っているので
必ずしも皆さんがここにで提示している定義や意味で使ってるわけではない場合もあります。

その辺はご留意いただけますと幸いです。

対話の説明に出てくる専門的な用語① もあります

 


⑥ アサーティブ・コミュニケーション

これは「自分も大切にしながら、相手も大切にする伝え方」で、対話の土台ともいえる伝え方のことです。

例えば言いたいことがあっても遠慮して黙ってしまったり、
我慢してしまったりする(受け身になる)と、自分の気持ちは置き去りになります。

一方で、強く言いすぎる(攻撃的)と、相手の心を傷つけてしまうかもしれません。

アサーティブな伝え方はその中間。

「私はこう思う」「私はこう感じた」と、自分の気持ちを“私”を主語にして伝えます。

この伝え方は相手を責めることなく、自分の思いを素直に伝えることができます。

お互いに対等で、安心して話せる関係をつくるために、相手を尊重するバランスのとれたコミュニケーションです。

 

⑦ リフレクション

リフレクションとは、相手が言ったことをそのまま、または少し言い換えて返すことを指します。

例えば相手が「最近仕事がうまくいかなくて…」と言ったときに、
「そうなんだ、仕事がうまくいかないんだね」と言葉をなぞるように返します。

ただオウム返しをしているように思えるかもしれませんが、「あなたの言葉を受け取っています」というサインになります。

「あなたの話をちゃんと聞いているよ」「その気持ち、受け止めているよ」と聴き方や返し方で伝わると、
相手は「ちゃんと聴いてもらえてる」と安心して話しやすくなります。

 

⑧ リフレクティング

リフレクティングは、リフレクションをリフレクションを一歩進めたもので、
相手の話に込められた感情や意味を読み取り、少し深く返すことです。

例えば相手が「忙しくてしんどい」と言ったとき、「それだけ責任を持って頑張ってるんですね」と返すように、
相手が言葉にしきれていない気持ちも汲み取って返します。

このような言葉の返し方によって、相手が「わかってもらえた」と感じると、
さらに心を開いてくれるようになりますし、話している中で自分の本音に気づくこともあります。

 

⑨ リフレクティブ

「内省的であること」「自分の内側を振り返ること」という意味があります。

対話は相手とのやりとりですが、実は自分自身との対話でもあります。

自分がどう話しているか、どんな反応をしているかを振り返る姿勢がとても大切です。

例えば「いま、自分はどう聴いている?」「どんな反応をしている?」と、
自分の思考や感情を観察しながら対話をしたり、
「今、自分は相手の話をちゃんと聴けているかな?」「つい自分の意見を押しつけてしまっていないかな?」と自分の態度を見つめることです。

この姿勢があることで、相手とのやり取りに余白や深みが生まれます。

対話は相手との関係だけでなく、「自分との対話」でもあるのです。

 

⑩ ナラティブ・アプローチ

ナラティブとは「物語」という意味で、ナラティブ・アプローチとは「人の話を物語として聴く」考え方のこと。

相手の語ることを「その人の物語」として聴く姿勢です。

人は、「私はこういうことがあって、こう感じたんだよね」という風に、
自分の経験や思いをストーリーとして語っています。

そこにはその人なりの意味や背景が詰まっています。

つい相手の話を評価したり、アドバイスしたくなったりしますが、
「その人の物語を、まずはじっくりと寄り添うように聴く」ことが
ナラティブ・アプローチ。

相手の物語に耳を傾けることで、相手自身も自分の語りを通して
「新しい気づき」や「自己理解」を深めていけるよう、そっと支えるのがこの考え方の魅力だと思います。

 

 

これらの言葉は、最初は難しいなと感じるかもしれません。

どれも「相手を大事にしながら、自分らしく話す」ためのヒントばかりです。

少しずつ実践しながら、対話の奥深さを楽しんでみてくださいね。

 

スタッフイノウエ